協議会メンバー#01
杉浦農園 代表
杉浦 英二さん
天空の棚田で里山循環型の農業を目指す
会社員から農業の道へ
御所市の西側に位置する金剛山の麓の道をのぼっていくと、下の道からは見えない棚田が広がる。ここは標高500メートル。見渡せば、大峰山脈や台高山脈の雄大な景色に息をのむ。「ここの景色は格別でしょう」と話すのは、この棚田で米や野菜を作る杉浦英二さん。建設会社でダム周辺の緑化に携わっていたものの、もともと農学部出身。農業や自然に関心があったことから、「自然を壊すだけでなく共存できないだろうか」と一念発起し、農業の道に入ったといいます。
農業はたいへん。でもやめられない
2003年、知人の紹介で、なんとか荒れた畑を貸してもらって開墾。無農薬でレタスを作り始め、3年目には貸してくれる田んぼも増え、米作りをするように。2010年からは、地元の油長酒造の依頼で酒米づくりにも取り組むようになりました。いつしか田んぼは増え、今まで無農薬で続けてきた農作業も、わずかな人手では間に合わず、苦渋の決断で、最低限の農薬を使うことに決めた杉浦さん。
「里山の循環を取り戻すような農業をしたい、と農業の世界に入ったものの、狭い棚田では機械も入れられないし、収量も低い。1人で悶々と農業をしながら、何が正解なのかで、正直、迷っていました」。
水源地近くの棚田との出会い
転機となったのが、伏見地区の水源地の近くにある棚田との出会い。高齢化で田んぼを辞めることになったその人は、今までの杉浦さんの活動を見ていたこともあり、杉浦さんに「ここでやらんか」と声をかけたそう。「こんこんと流れ出る山からのきれいな水を見たとき、ここで農薬は使ったらあかん。もう一度、農薬を使わずにお米を作りたい」と決意した杉浦さん。
油長酒造にも相談し、販売店等の協力で、田植えや草取りをするボランティア30人が集まり、農作業を手伝ってくれたそうです。これが「秋津穂の里プロジェクト」のはじまりです。年々、その人数も増え、いまや100人。かかわった人たちが里山の農業を自分ごとのように考えてくれ、いろんな提案もしてくれるそうで、そのことが、本当にうれしいと、杉浦さんは言います。17年前、よそ者で入ったこの里山で、雨の日も暑い日も実直に農業に向き合ってきた姿が、いつしか地域にとけこみ、この美しい里山の風景へとつながっています。
杉浦さんのおすすめ
杉浦農園から見える景色は抜群。癒してくれること、間違いなしですよ。日が昇る前から畑で作業をするのですが、しらじらと明るくなってくるその時間がいいですね。刻々と変わる空の色の美しさに感動します。お日さんとともに生活する暮らし、気持ちいいですよ。
Information
杉浦農園
住所:奈良県御所市西佐味984
tel:090-6974-8603
https://www.ns-sugiura.com
営業時間:9:00~17:00
休日:不定休
駐車場:有り